2011年の震災から10年が経った。あの日のあの瞬間のことは今でも鮮明に覚えている。中学3年の卒業間近。3年生を送る回を終えて、教室で先生を待っている時間だった。俺は教室と廊下の境目あたりで友人と話をしていた。そのときに地震が起きた。避難訓練以外で学校の机の下に潜るなんてことを初めてした。正直最初はヘラヘラ笑っていた。しかしとてつもない揺れに段々笑えなくなっていた。このとき初めて地震で酔うことを体験した。その後地震が落ち着き家に帰宅した。家中いろんな物が倒れていた。棚は倒れ、飲みかけのコーヒーは溢れ、見たことないほどぐちゃぐちゃだった。2時間ほどかけて部屋の片付けをして友人の家に遊びに行った。友人の家でニュースを見た。燃える原発、曲がった東京タワーの先端。原発の映像は本当に映画を見ているようだった。夜になるまで親と連絡は取れなかったが、仕事から帰る手段をなくした母を父が迎えに行っていた。それほど東京の交通機関も麻痺していた。その後数日は情報を得るためにSNSを必死に見ていた気がする。

 

もう10年か、という気持ちと、確かに10年経ったなという気持ちがある。あの日から10年経って自分は何か変われたか。何も変われていないと思ってしまうけれど、どこかほんの小さな部分でも変われたと思っていたい。